長期修繕計画は売上げ予定表?

 

長期修繕計画は、文字通り、マンションの修繕工事の予定を長期にわたって試算した計画です。マンションを長寿命化するためには、毎年の小規模な修繕工事に加えて、一定期間(一般には12年周期が良いとされています)ごとに大規模な修繕工事を行う必要があります。

長期修繕計画作成の重要性は多くの専門家が指摘していますが、それは大規模修繕工事には多額の資金がかかるため(街中でもマンション全体に足場をかけて工事をしている光景をよく目にされると思います)、それに備えて積立金を積み立てておかないと、いざ工事を実施したいと思っても資金が足りないという事態に陥ってしまうためです。したがって、長期修繕計画を作成することによって、将来見込まれる工事の予定額を試算して、それに合わせて毎月支払う修繕積立金の金額を適正に設定しておくことが重要であるとされています。

よって、適正な修繕積立金を設定するためには、きちんとした長期修繕計画を住民合意の上で作成する必要があります。また、あくまでも長期修繕計画は修繕工事の予定表であり、計画されている期に必ずしもその修繕工事を実施しなければならないというものでもありません。まだ十分に使える設備を計画修繕だからといって、あえて取り替える必要もないのです。

長期修繕計画の作成を管理会社に丸投げしている管理組合も多いのではないかと思いますが、そうした場合には不必要な修繕工事が設定されていないかや、工事金額が相場とかけ離れていないかなどをよく吟味する必要があります。長期修繕計画は管理会社の売上げ予定表であると言う人もいます。管理会社に任せきりにしておくと、長期修繕計画をそのような形で使われないとも限りません。

長期修繕計画の作成や計画修繕の実施に際しては、管理組合による十分な監視が不可欠です。